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[さよならcd:1] talib kweli “the beautifull struggle”

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cdやアナログレコードを順次手放すようになったここ数年。
自分はコレクター気質ではないのでそれほど気にせず処分したり、売りに行ったり、人に譲ったりしている。それでも、これはとっておこう、と思っていたcdをさらに間引くことを決めたので、心に浮かんだことを書いて見つつ、作品を紹介できたらいいかもしれないと思って書き出してみる。

一枚目はtalib kweliの”the beautifull struggle”。
notraxというサイトをやっていた時にレビューを書いた一枚だが、改めて聴き返してみると、やはりその時には感じ取れなかったことが聴こえてきて面白い。

タリブはこの2004年のrawkus経由メジャー盤ではサウンド的にはかなりR&Bに寄せていた。john legendやanthony hamilton、mary j. bligeなどボーカリストを招いたメロディアスなトラック、ジャスト・ブレイズのヴィンテージ・ソウル早回しなど、音楽の持つマジックが生まれるまでもう一息、というところなのだが、やっぱり届かない。相方mos def/yasiinと違って、ハーモニーを意識してメロディを外すという部分がないので仕方ないのだと思う。だからこそ、pharrellプロデュースによる”broken grass”のようなリズムが前面に出た曲でこそ映える。

その”broken grass”はハネた踊れるトラックなのに、内容は床に落ちて「砕けたグラス」のように、現実の前で砕ける夢の話というのがまたタリブらしい。

"…last hundred dollars she got to get by, now she gotta make choice go home or get high…"

このビートでこんな話をラップする、というのがいかにも彼。

この頃に直接インタビューする機会があったのだが、「アメリカの政治的システムは壊れている、だから俺は投票には行かない」と言っていたのがとにかく印象に残っている。本質的な良し悪しはともかく現実的にベターな選択をする、という民主主義の原則すらタリブは信じていないわけで、理想を掲げつつ戦うスタンスが自分の理解を越えていると思ったのだが、さすがに音楽系インタビューでそこを掘り返し続けるわけにもいかず、漠然とした印象のままになってしまった。

このアルバムではそんな彼がラップの中身はクソ真面目なまま、外側は彼を活かすわけではないわかりやすいサウンドを使っている。改めて聴きかえしてみて、なんだかその矛盾した印象が改めて強くなった。もちろん、その後のリズムを立たせた作品の良さを知っているからかもしれないが。

もし機会があったら、あの話の続きをぜひ聴いてみたい。オバマ大統領が誕生し、結局は余り成功しているとは言いがたいこの状況で、彼は何を求め、どう戦っているのか。